(B)菊丸にお願いする

「き、菊丸くん
とにかく竹丸くんをどうにかしてよ!」
事情を知ってる菊丸より、何も知らない竹丸のほうが始末が悪いと思ったいずみは、菊丸に助けを求めるしかありませんでした。
「おい、竹丸、何をしようっていうんだ?」
「宇宙人さんにお風呂に入ってもらおうと思って

「ほ、ほらぁ
また話が変な方向に
いずみの予感は的中しました。再び小声で菊丸に詰め寄ります。
「竹丸よせよせ。」
そっけない言葉でしたが、菊丸が弟を制します。
(ほっ
助かった
「それよりも僕たちでやってあげないといけない事があるだろう?」
意味ありげに促す菊丸。
「?」
(?)
竹丸もいずみの何のことだかさっぱり分かりませんでした。菊丸はいずみを膝に抱えたまま竹丸に指示を下します。
「竹丸、外の様子を見てきてくれ。」
竹丸はうなづいて、バルコニーから様子を見ます。
「にーちゃん、下が静かになったよ!」
先ほどまでの階下の宇宙人出没騒ぎは一応決着したようでした。
パトカーの赤色灯が遠ざかり、人影も闇に消えています。
よし、もう少しだけ様子を見て行動開始だ!」
「でも、にーちゃん、一体何をするの?」
いずみも竹丸と同じ疑問を抱いていました。
「決まってるじゃないか、宇宙に返してやるんだよ。」
「に、にーちゃん

「仕方ないだろう、僕らだけでいつまでも宇宙人を匿えるわけないし
それにこの宇宙人にもきっと家族がいる。戻してやるのがスジじゃないか?」
うん、わかったよ。」
「じゃあ、下の管理人事務所においてあるリヤカーを借りてきてくれ、にーちゃんは連れ出す準備をするから。」
「わかった!」
再び竹丸が部屋を去ると菊丸はいずみに耳打ちします。
「ね?あとは上手く外に出てドサクサにまぎれて逃がしてあげるよ。」
「そ、そんなに上手く行くかしら

腹に描かれた顔もいずみの心理を表すかのようにしかめっ面になっていました。

1時間後。
最初いずみたちが花見をしていた公園にリヤカーを引く菊丸と竹丸の影がありました。リヤカーの荷台には、シーツをかけられたいずみが潜んでいます。
「誰もいないね、にーちゃん。」
菊丸も無言でうなづきました。
桜の木の下を抜け、さらに公園の奥にある小さな森を抜けると、小高い丘の上までたどり着くと、菊丸はようやくリヤカーを止め、いずみを降ろしてあげました。
「これからどうすんの?にーちゃん

空気が冷えたせいか夜霧が3人の周囲に立ち込め始めました。
(これは好都合だな)
菊丸はいずみをエスコートしてリヤカーから降ろします。
「さぁ。宇宙人クン、他の人に見つかる前に、『帰還の踊り』で母船を呼び出して帰るんだ!」
(ちょ、ちょっと何を言い出すのよ!)
(いいから、適当に踊って竹丸の目を引きつけるんだ!)
(そ、そんな
ああ~ん、結局また腹おどりになっちゃうのね
(その間僕が逃げる準備をするから

布越しに竹丸の視線を感じました。ここまで来たら、宇宙人で押し通すしかありません。
渋々腰をくいくいっと短く動かしました。しかし、菊丸は納得しません。
「だめだめ!そんなんじゃ天高く飛んでる宇宙船は呼べないぞ!」
背後からいずみのくびれたウエストをわし掴みにすると激しく前後に突き動かし始めました。
「だ、だめぇ!そんなに強く動かされたら

菊丸は手漕ぎボートでも漕ぐかのようにいずみの腰に突き放しと手繰り寄せを繰り返します。
パコパコと凄まじい勢いの腰振りダンスを見て、竹丸はただただ、感心するばかりです。
「す、凄いよ宇宙人さん!」

「竹丸、アレを見ろ!」
「え?」
菊丸が指差した夜空を見上げた瞬間、ボゥッと音がして竹丸の視界はまばゆい光に包まれました。
「う、うわぁ!」
服に包み込まれたいずみにはその光の影響はなかったものの、すぐにその正体に気づきました。
(菊丸くん、さてはマグネシウムを炊いたのね・・・)
いずみの推理どおり、菊丸は化学の授業の時に使ったマグネシウムを少量失敬し、隠し持っていたのです。
「いずみちゃん、今だ、行くよ!」
菊丸が耳打ちしてきました。
目をぱちぱちさせて竹丸はようやく視覚を取り戻しました。
「な、何だったの?にーちゃん

「う、うん
きっとUFOの光だよ。」
「え?円盤の光?じゃ、じゃあ宇宙人さんは

竹丸がリヤカーを覗き込みましたが、すでにその姿は影も形もありません。
「そ、そんな
こんなお別れ寂しすぎるよ
心底寂しそうに呟く竹丸に流石の菊丸も心が痛みます。
(い、痛たたた

フラッシュを焚いた瞬間、菊丸は逃げやすいようにといずみの下半身が纏っていた腹踊り衣装をずり下ろし、パンティ一枚になったところで、近くの植え込みに突き飛ばしたのです。
脱がせた腹踊り衣装は足でリヤカーの下に隠し込みました。

「そうだな
じゃ、もう遅いし、先に帰ってなさい。にーちゃんはリヤカー引っ張って帰るから少しおくれるから
と竹丸を先に帰宅させようとしました。もちろん、いずみと2人きりになって、更にえげつないイタズラをしようと企んでいたのです。

その頃いずみは植え込みの奥で1人身を伏せていました。植え込みの小枝が全身を引っかき、全裸に近かったいずみの肌に小さな引っかき傷が無数に刻まれていました。
しかし、ここで初めて1人になれたいずみは、音を立てないように全身をくねらせて、ちょうちんにされた服の結び目をなんとか解くことができました。
上半身を包んでいた衣服を開き、流れ込む新鮮な空気を吸い上げます。
(た、助かったぁ・・・)
植え込みから覗くと、菊丸と竹丸はまだ残っているようでした。菊丸が竹丸を帰そうとしているのが伺えます。
(ここは竹丸くんが帰るまで隠れていた方がよさそうね

いずみは植え込みの中で身を丸めて伏せ、待機することとしました。
ところが
植え込みが全身を隠し切れない大きさだということにいずみは気づいていませんでした。
更に植え込みに突き飛ばされた瞬間、枝がパンティに引っかかって剥ぎ取られていた事もちょうちんからの解放に夢中になっていたいずみはまだこの時気づいていませんでした。
植え込みからにょっきり突き出した白いおしり
文字通り「頭隠して尻隠さず」の状態になってしまったのです。
そこへひょこひょこと中型の野良犬がやって来ました。茂みから突き出たいずみの丸いおしりに気づきます。
興味を持ったのか、犬はふんふんと鼻を鳴らし、おしりの匂いを確かめました。その鼻息がいずみを刺激し、ようやくいずみはじぶんのおしりが茂みの外に出ている事に気づきました。
「ひゃっ、な、何?」
「あれ
なんだろう?」
竹丸が犬の存在に気づき、植え込みをまじまじと見つめます。
(ま、まずい

ここでバレては元も子もないので、いずみは身をこわばらせて犬の責めに耐え抜きます。
やがて長く赤い舌を出し、チロチロとおしりを舐め始めたのです。
(や、やぁ
~ん!!)
さすがの菊丸も成り行きを見守るしかありません。
犬の舌がペロペロベッチョリとおしりの割れ目を走ります。
やがてその舌はいずみの大切な菊の紋所を捕らえました。犬はその感触が気に入ったのか、舌を集中的に走らせ、いずみの脳を溶かします。
いずみは力の限りすぼめて抵抗しましたが、犬が前足でおしりを押さえつけると、緊張の糸がとうとうブチ切れてしまいました。
「あ
ああんそんな所舐めちゃいや~ん!」
思わず洩らしたいずみの喘ぎ声は小さなものでしたが、竹丸の耳にはしっかり届きました。
「な、なに?もしかして宇宙人さん?」
竹丸は迷うことなくいずみの隠れている植え込みに歩み寄ります。
「た、竹丸!そっちには何もない!戻ってくるんだ!」
しかし宇宙人に会いたい一心の竹丸の耳には、兄の命令など届きません。
いずみは姿勢を立て直し、茂みの中に潜り込みました。犬はその動きに驚いて逃げ去ります。
ガサリと竹丸が植え込みを掻き分けると、しゃがみ込んで隠れていたいずみが姿を見せました。
「あ

絶句したいずみと竹丸はしばし見詰め合っていました。
「い、いずみおねーちゃん
こ、こんな所で
ついにバレてしまった!といずみは竹丸に正体がばれたと思い込み、顔を覆ってしまいました。
だめだよ、こんな所でちゃんとあっちに公衆トイレあるでしょう?」
「え?」
竹丸の予想外のコメントに一瞬怯んだいずみでしたが、すぐにその意を理解しました。
「きゃああ!」
いずみは自分の下半身がすっぽんぽんだった事を忘れていたのです。
下だけ脱いでしゃがみ込んだその姿勢は和式トイレでの構えそのものでした。竹丸はいずみが用を足していると勘違いしたのです。
「わ
~いずみねーちゃん、えんがちょ~!!」
「ち、違うの、これは
ちょっと待ってよぉ!!」
宇宙人の正体こそばれなかったものの、新たな誤解を生んでしまい、途方にくれるいずみでした。
「もぉ
なんでこうなっちゃうのぉ~!?」

  おしまい
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mess8感想一覧

catch14【投稿者】鬼兄さん
はじめまして。普段は読むだけなんですが、あまりの大作に感想を書かずにはおれませんでした。^^まるで「いずみちゃんゲーム」が制作される前振りのような様々な展開にただただドキドキしながら楽しませていただきました。贅沢を申しますと、展開の中に大勢の人にかこまれたいずみちゃんが様々な羞恥プレイに晒される・・・のも観て見たかったかも。(笑)いずれにしても大変楽しく読ませていただきました。今後の新作も心待ちにしております。
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