(A)竹丸についていく

竹丸に案内されるまま、いずみと菊丸は部屋を出ました。

「さぁ、宇宙人さん、シャワーを浴びて汗を流して!」
竹丸が案内した先はなんと明智家の浴室だったのです。
(きゃ、きゃあああ!ますます状況が悪化しちゃったぁ!)
(うほほ~我が弟ながら、スケベおやぢの素質あるなぁ!)
先手を取ったのは菊丸でした。素早くいずみを浴室に押し込めて頭部のかぶり笠を取り除くと、問答無用でボディソープをいずみの全身に振り浴びせます。
(や、やぁ~ん!ヌルヌルしちゃう~!)
裸足のいずみは石鹸液とタイルですべり転びそうになるのを踏ん張って支えるのが精一杯になってしまいました。
「お、お兄ちゃん…宇宙人さんは服を着たままシャワーを浴びるの?」
竹丸の問いに菊丸は「チチチ…」と人差し指を立てて制します。
「この宇宙人はね、『脱皮』が出来るんだ。こうやって滑りを良くして…」
菊丸はぐっと腰周りの腹踊り衣装に手をかけます。
(ま、まさか!?)
「一気に剥き取る!剥くべし、剥くべし!」
泡だらけになっていた腹踊り衣装はいとも簡単に脱がされてしまいました。
「きゃあああ!」
長くすらりとした「人間の二本の生足」が姿を見せました。
おしりを覆っているのは石鹸の泡をブクブクと噴いているパンティだけです。
「お兄ちゃん、凄いや!宇宙人さんってまるで人間みたいな足をしてるんだね!」
竹丸は兄、菊丸の手際の良さにただただ感心するばかりです。
「いいや、まだまだ…このパンテ…いや、この『宇宙服』の向こうに『男の大宇宙』が待っているんだぞ、竹丸!」
泡まみれのパンティに手をかけ、ずるる…とゆっくりと、しかし確実にパンティをずりおろします。
(ば、馬鹿ぁ…いい加減にしなさーい!)
声にならない怒号を上げ、いずみは菊丸の魔手から逃れようとしました。
ところが、そのリアクションも菊丸の想定内のことだったのです。
いずみが逃げようとしたため、菊丸の指がかけられたパンティが伸び、そのゴムが伸びきったタイミングで菊丸は手を離したのです。
パチーンとおしりにパンティのゴムの衝撃が走りました。その痛みに驚いたいずみはつい足を滑らせ、派手に転倒してしまったのです。
がらがら、ガシャーン!と洗面器や洗顔道具がひっくり返る轟音が浴室に鳴り響きました。
「うほほ~まさに計算どおり!」
「う、宇宙人さん大丈夫?」
菊丸と竹丸はひっくり返った宇宙人を見下ろしました。
頭と二本の脚がカメラの三脚のように土台となって、いずみのおしりを持ち上げています。
二本の脚は美しい二等辺三角形を作り、つま先はバレリーナのように床を支えています。
ちょうちんに隠れて表情は見えませんが、いずみは頭を打ったらしく、気絶してしまっているようでした。
まるで口から泡を噴くように、パンティからはボディソープの泡がゴボゴボと湧き立って、小さな泡の山を築いています。
菊丸は今度は悠々とパンティに手をかけ、いとも簡単にいずみから取り去りました。
パンティの下には泡だらけの股間が広がっていて、何も見えません。
(ふふふ…こんなトラップは、カニの泡で経験済みさ…)
菊丸は動じることなく、シャワーのホースに手を伸ばすと、トロトロとぬるま湯をいずみの股間の泡にかけ始めました。
たちまち泡は排水溝に流れ、いよいよアソコを守る小さな泡も流れてしまいそうです…
(あ、あと少しで…『大宇宙』…!)
「お、お兄ちゃん、これなあに!?」
竹丸が驚愕の声をあげました。
「…な、なんだこれは~!?」
そこには菊丸が全く想定していなかった景色が広がっていました。
いずみの股間は何者かによって真っ赤に塗りつぶされていたのです。
(こ、これは…口紅!?)
実はお花見での宴席で腹踊りの衣装に変えさせられた時、酔っ払った千春とリンダによって、いずみはアソコ周辺を口紅を塗りたくられていたのでした。
いずみ自身よって記憶がないので、そんな事をされた事実に全く気づかなかったのでした。
口紅はかなり濃く何層にも塗ったらしく、何があるのか全く判別できません。
「な、なんて事だ!こうなったら…」
菊丸は再びいずみの股間にボディソープを注ぎました。スポンジで優しくこするとたちまち泡に埋め尽くされ、折角ご開帳となったアソコを隠してしまいます。
泡の中にスポンジを走らせ、頃合を見てお湯を注ぎ、泡を洗い流します。
しかし…
「だ、だめだぁ!ほとんど落ちてない…」
菊丸は失望を隠せません。
千春の口紅は最新式の「簡単に落ちない口紅」だったので、専用の化粧落としでも使わない限り、多少の水や石鹸では効果がないのでした。
「こうなったら…」
菊丸は浴室を飛び出し、母親の化粧台に駆け寄りました。
「口紅落とし、口紅落とし…」
血走った目で化粧台をひっくり返し、ようやく化粧落とし見つけて浴室に戻ると…
「あ、あれ?いない?」
そこには気絶したいずみはおろか、竹丸もいません。
菊丸が呆気にとられていると竹丸が玄関からトコトコと戻ってきました。
「た、竹丸…いずみ…いや、宇宙人は?」
「帰ったよ。」
竹丸は素っ気無く答えました。
「か、帰った!?」
「うん、お兄ちゃんがどこかに行ってる間にリンダさんと千春さんが来て、抱えて行っちゃった。何か二人とも酔っ払ってたみたいだったよ。」
「ど、どうしてあの二人に引き渡したんだよ!」
「だって『探シマシータ!私タチガ、責任ヲ持ッテ、連レテ帰リマース!』って言うから…宇宙人さんも宇宙に返してあげた方がいいと思って…」
「うっ…そ、そうか…竹丸…お前は優しい弟だなぁ…」
いずみのアソコは逃して無念だったものの、優しい弟竹丸に少しだけ嬉しくなった菊丸でした。

翌日…
リンダも千春も昨夜の騒ぎの記憶は、酔いが醒めるとともに消えてなくなっていました。
「ねぇいずみ聞いてよ、あのお花見で買ったばかりの口紅がなくしちゃったのよ。」
「ア、頭痛イデース!何カニ、落書キシタマデハ、覚エテルンデスガ…」
「そ、そぅ…?」
菊丸もあの日のことは何もなかったかのように振舞っています。
街中で騒ぎとなった宇宙人の噂すら口に出しません。

その日の放課後…
いずみ、菊丸、千春、リンダの4人は下校中、偶然竹丸と会いました。
「あ、いずみおねーちゃんたち、こんにちわ。」
「こ、こんにちわ、竹丸くん…」
ただ一人、いずみがどぎまぎしています。
しかし、竹丸はいずみと宇宙人が同一人物だったなどとは想像すらしていないようです。
竹丸を加えた一行は、世間話をしながら歩き始めました。
「おねーさんたち、聞いてくれる?…ボク、宇宙人とコンタクトに成功したんだよ。」
突然竹丸が昨夜の事を話し始めたので、いずみは心臓をつかまれたような気持ちになりました。
「へ、へぇ…?」
「竹丸くんってもっと大人だと思ったけど、意外と夢を追いかける子供っぽい所あるのねぇ…」
千春が年下の男の子をからかいます。
「本当だよ、お兄ちゃんも見たし…それに…証拠もあるんだ。」
「証拠!?」
4人が一斉に竹丸に注目しました。
「ほら…宇宙人さんの宇宙服だよ!」
竹丸は、菊丸が消えて、宇宙人と二人きりになった時、宇宙服と信じていたパンティをこっそりに隠し持っていたのです。
パンティの中には真っ赤な口紅で押し付けられたような唇のような跡がはっきり、くっきりと残っていました。
「これは宇宙人さんの口の跡なんだよ、凄いでしょ?」
竹丸は誇らしげにパンティの中を押し広げてその奇妙な唇の跡を見せびらかします。
(こ、これは…いずみちゃんのパンティ!?)
(こ、この赤いもの…私の口紅!?)
(思イ出シタネ!千春ノ口紅デ、イズミノアチコチニ、ぼでぃぺいんてぃんぐシタネ!)
竹丸に見せられたパンティを覗き込んでいた4人でしたが、いずみをのぞく3人は異口同音に呟きました。
「こ、この唇みたいなのは…まさか…」
3人の視線が残る1人に向けられます。
いずみはその場にヘナヘナとへたり込みました。
「み、見ないでぇ~…」
無意識に股間を両手で押さえ込み、口紅に負けないくらい顔を赤らめてしまういずみでした。

  おしまい
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