ssharu04
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まだ寒い初春の夜、いずみ、千春、リンダのいつもメンバーによる、お花見会が原田家近くの公園で催されました。
お花見といっても公園には桜の木が一本しかないので、他の花見客もおらず、ささやかな宴席です。
「かんぱーい!」
「菊丸くんも呼んであげたらよかったのに」
「そ、そうね(冗談じゃない、今夜くらい菊丸の魔の手から解放して欲しいわっ)」
本音と建前を使いこなし、いずみは千春の言葉を受け流します。
千春とリンダは菊丸の不在にやや残念そうでしたが、それでもお花見の宴席は楽しく進行していきました。
いつもは優等生のいずみもこの日ばかりはつい羽目を外し、酒を酌み交わして盛り上げます。
ところが今夜は盛り上がり過ぎたようでした。やや酒乱の気のあるリンダがとんでもない提案を始めたのです。

「Hey、イズミ!コーユー宴会ノ場デコソ、盛リ上ゲル、重要ネ!」
リンダが突然妙な事を言い出しました。
「う、うんどうしたの?急に
「今日ハ宴会芸ヲ披露スルネ!以前、旅館デ見セタ『腹踊リ』ヲ千春ニ見セテアゲルネ!」
「え、ええ~!?」
「なあに?いずみ、腹踊りなんかしたことあるの?信じられな~い!」
「だ、だってあの時はやむを得ずお客さんも楽しみにしてたし
「お客さん?いずみって意外と露出狂~?」
無邪気だが、キツい突込みをいれて千春は追い討ちをかけます。
「イイカラ、イズミ、早ク準備スルネ!」
酔って力の制御ができないのか、リンダは凄まじい怪力でいずみを押さえつけました。
逆にいずみは、意識はしっかりしているものの、酒のせいで力が入りません。
「い、痛たたたた!」
「確カ、菊丸ハ、服ヲマクッテ
かつていずみが旅館で菊丸にされてしまった「ちょうちんスタイル」をリンダは正確に覚えていました。
ガバっとシャツをめくり、半分だけ脱がせた状態で顔を隠して頭のてっぺんで固く結び上げます。
「後ハ、すかーとヲ脱ガセテ
一つ一つ、手順を呟きながらリンダはそれを実行に移します。
いずみは胸、おへそ、パンティと長い脚をむき出しにして横たわっています。
ココデ、ぼでぃぺいんてぃんぐネ!千春、口紅持ッテマスカ?」
「く、口紅?あるわよ、ちょっと待ってて
最初はリンダの暴挙に戸惑っていた千春も興味を覚えてきたようです。
千春の手にはちょっと派手な真っ赤なルージュが握られていました。
「ちょっと勿体ないけど、いいわよねいくわよ~いずみ~
三者三様にこの夜は酔っ払っていました。公園からは、千春とリンダの楽しげな笑い声が漏れていました。

「チャンカ、チャンカ、チャン、ア、ソーレィ♪」
リンダが箸やスプーンで食器を叩いて音頭をとり、千春は一点を見て笑い転げています。
二人の視線の先には、口紅でお腹に顔を落書きされたいずみがお腹をへこませたり、膨らませたり、左右に腰を振って笑いをとっています。
どこから用意したのか、いずみのいでたちは、大きなかぶり笠と腹踊り用の衣装をまとい、あの忌まわしき思い出のコスチュームと全く同じものでした。
実は三人の中では、いずみが一番酔いが浅かったので、一部記憶が抜けているものの、正気に近い状態まで意識が回復していました。一方で千春とリンダは、完全に出来上がっていって、自分達が何をしているのかもはっきりわかっていないようです。
(リンダが思いっきり固く結んだから、腕の自由が利かないここは千春とリンダが盛り上がって疲れて寝てしまうのを待とう
今ここで無理やりこの結び目を解こうものなら、「宴会芸を極めてない」とさらに二人に無理難題をふっかけられるに違いない。
それよりは、ここは敢えてこの屈辱に甘んじようと判断し、いずみは二人の隙を狙っていたのでした。
ところが

いつまでたっても二人は眠気を感じさせないテンションの高さです。
逆に踊り疲れたいずみのが地面にへばってしまいました。
「も、もうだめぇ
仰向けに倒れたので、夜空を見上げているお腹の顔もいずみの心情に沿うかのように苦悶の表情に変わっています。
「大和ナデシコ、根性ナイネ!」
「リンダの言うとおりよね~いずみ、だらしなーい!」
普段はいがみ合う二人ですが、今夜は妙に意気投合していずみを責め立てます。
「そ、そんなぁ
全身から汗を噴き出し、茹で上がったように上気したお腹からは僅かに湯気すら上がっています。
(ど、どうしよう何とかしなくっちゃ
いずみはこの状況を少しでも打破しようとして
誰が発言するか様子を伺っていましたが

 どれを選択しますか?

(A)いずみ「ね、ねぇちょっとだけ休ませて。わたし、トイレに行きたいの
(B)
リンダ「デモ、腹踊リバカリ見ルノモ、アキタネ!」
(C)
千春「ね~いずみぃ~、私もっとしっかりした踊りが見た~い!」
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